手染め屋吉兵衛



手染め屋 吉兵衛

作品を作るにあたり、いつも大切にしていることがあります。

「手染め屋」として、昔ながらの創作による、味のある染めの作品をつくること。
そして、吉兵衛らしいカラーを作品で表現することです。


着物ひとつ例にとっても、礼装、洒落着など、その用途は様々ですので、それぞれに応じた、柄いき、色、配置があります。

その中で、吉兵衛らしさをどう表現していくのか、このことには、いつも 気を張り、また時間を費やしています。


それでは、その『吉兵衛らしさ』とは何か。 ひとことでで言えば「粋」です。

では、「粋」は何から生まれるのでしょう。


それは“遊び心”からです。

遊び心とは、こころのゆとりであり、また、柔軟な発想、豊かな想像力を言います。

“あそぶ”というこを知っているからこそ生まれる、独創性が『吉兵衛らしさ』にとって欠かせない、凛とした潔さ、面白さ、洒落っ気の持つ「粋」 なのです。


「手染め屋」として、そして「遊び心」を大切にして、作品に取り組んで行きたいと思っています。



作品作りで染め上がり、雰囲気を出すために大切なところです。
素材の中で重要なのは「生地」と「道具」です。


「今の材料で出来ない」「この道具でないと味が出ない」こういった染色道具へのこだわりや、道具の扱い方も、職人技の一つと思われます。

 

例えば、志毛引き染めの志毛刷毛。

毛はワシントン条約に指定されている“サンバー”(鹿の一種)の毛、柄 …刷毛の木の部分はヒノキ。
どちらが欠けても美しい志毛引き染めに はならないでしょう。


そして、生地。

作品の土台になるものですから、いつも厳選したものを用いています。
ここがしっかりしていないと、色が思うように発色しなかったり、加工段階で問題が発生したりします。

糸から時間をかけ織られた反物は、試行錯誤と研究を繰り返し、「この生地にはこの加工が向いている」「この生地には、また別の加工」というように、それぞれの生地に合った方法を選び、染めます。


地味で時間がかかる作業ですが、道具や生地の素材選びや、研究・試行錯誤を怠っては、「良い作品」も出来ません。